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2006年9月26日 (火)

長沢のテツ

県道から細い九十九折の道をのぼってくると、明るい平地に出て、そこに

農家が3軒ばかり。 そのうちの1軒がじっちゃんの家だ。

道に沿った斜面に今春小さなログハウスが建てられて、テツはそこで飼わ

れているオスの柴犬だ。

散歩中のテツに時々出会うことがあるが、耳がピンと立ち、スックと伸びた

4本の足。 クルリと巻いたシッポなど、利口そうな切れ長の目をして

若さと風格が感じられる立派な柴犬だ。

落ち着いて何事にも動じないといった貫禄があって、まるで ○○一家の

若親分といった風情が頼もしく見えるので独断で  長沢のテツ と、私は

名づけている。   テツを引いているご主人様もチョット凄みのある

いい男で、二人はピッタリ絵になっている感じ。

もう一匹めすの柴犬がいて、どうもテツの嫁さんのようだ。

この仔は優しい目をしてどことなく女っぽい。

どちらも綺麗な枯葉いろをしている。

その仔を  うめこ と名づけた。

じっちゃんが声を潜めていうには奥さんは町へ勤めに行っていて

ご主人様が朝晩の送迎をしているという。

うめこは子犬を何匹も産み、その仔たちはどこかへ売られて行く

げな、、、、なんだ ブリーダーか。。。

美しいスタイルを崩さないように一日中桜の枝にリードいっぱいに

張られてかろうじてお座りしているテツを何回も見た。

テツ うめこ きみたちは幸せかい? と聞いてみたい。

ちなみに、じっちゃんの雑種犬は、私を見つけると恥も外聞も

なくひっくり返って大喜びをしてくれる愛しいワンコだ。

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2006年9月19日 (火)

秋は駆け足で深まってゆく

9月にはいると私の桜は はやばやと葉っぱを紅葉させる。

茂った緑の枝に数枚づつ赤や黄が混ざって、それが風にのって

ハラハラと落ちてくる。

鮮やかな色模様は2枚と同じものがなく、小さくて 可愛らしく美

しい。  拾い集めて篭などに盛って下界へ持ち帰り玄関などに

飾っておく。   ふもとの里は秋まつりの屋台を出したり、ちょうちん

飾りをしたり、若い人達が楽しそうに仕度をしている。

これからは、駆け足で秋が深まってあっという間に お山は静かに

なってしまう。

向かいの岡田青年は、定住をはじめて、もう、1年が過ぎた。

あの、寒くて厳しい強風の続く冬を、たった一人で過ごしたのだ。

淋しくない?  と聞くと 僕、こんなの嫌いじゃないから大丈夫、

夜、静かにしているとなんか、動物の気配がして息遣いまで

聞こえるんですよ。 と嬉しそうに云う。

夜、岡田青年の明るい部屋の中をタヌキやウサギなどが覗く

こともあるのかな と 想像してしまった。

岡田青年は控えめで、ものしずかな青年だ。

最近、就職できたと言っていた。

彼に関しては他には なあんにも知らない。

お山では、そういう関係が、お互い いちばん心地よいと思う。

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2006年9月17日 (日)

牛の兄さんと晩酌

ススキの穂が うす赤く色づいて彼岸花が咲いているのが車の中から

赤く群れて見えた。

秋がいよいよやってきた。

久し振りに登ってきたので雑草がかなり伸び、 クモの巣がたくさん

張ってしまった。 窓を全部開けて風をとうしておき、トトーの散歩に出る。

今日はだあれも来ていないようだ。

あんなに沢山居たトンボも里へ下りたとみえ、4枚の羽根の先が焦げ茶色

トンボが時々ヒラヒラしている程度。

萩の花 すすきの波 山桜の落葉 小さな野菊の花 あざみ、クヅの花 

蝉はまだ、うるさいほどに啼いているのに夏の名残りと秋の気配が微妙

に入り混じっている。

夜 牛の兄さんがやって来て一緒に晩酌をしてカラオケまで始め、思い切り

大騒ぎをしてしまった。  深夜、兄さんは真っ暗い夜道をヨロヨロと帰って行った。

78歳の兄さんは、私たちより元気だ。

田んぼに落ちないでねえ  大丈夫だヨー と元気な声がした。

聞いたこともないような夥しい虫の声が短い秋を精一杯生きようと必死に啼いて

いる。  お山はユッタリと眠りについている、、、、、、。

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2006年9月 8日 (金)

お葬式と沢蟹

9月7日のこと

ある葬儀場で叔父の葬儀が厳粛にとり行われていた時。

田舎の菩提寺から 目を見張るように美しく 凛々しい 若いご住職さま

に来て頂いた。 僧侶たちの大合唱が長々と続くなか、この数日の疲れ

が出て、つい、眠気がしてきてこれはいけないと無理に目をパッチリ見開

いたとき、なにか床に動くものを見た。

まさか。私の嫌いなクモではないかと、よーくみると、ナントそれは小さな

黒っぽい沢ガニではないか。ええぇ なんでこんな所に?

その沢ガニはしばし立ち止まり,考えてからまた、横にす早くジグザグに

移動して皆の靴と靴の間を行きつ戻りつして、とうとう、自分の近くまでや

ってきた。 その時、いきなりジャーンというシンバルのような音が鳴り

響いたので沢ガニはとびあがる様に驚いて?ヒールの隙間に逃げ込んだ。

あ~踏まれてしまう。。。。

それに気付いた者たちも驚きと笑いをこらえて注目していたが、やがて沢ガ

ニはソロソロとどかかへいってしまった。

有難いお経も終わり、最後にゆかりの者たちとの会食(精進落とし)の時

昔叔父さんに助けられたカニじゃないか お別れに来たんだねとか 皆な好き

なことを云いながら泣いたり、笑ったりして食事をおえた。

剃りあげたうす青い清清しい襟足 ハッキリ見開いた大きな涼やかな瞳

、、家もあの御住職の檀家になろうかな などとウットリしているオバサン、、、

泣いたり 笑ったり 食べたり お葬式って不思議なものだ。

印象に残る1日だった。

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2006年9月 6日 (水)

漆黒の闇

外灯も無いあたりは真っ暗だ。

空だけが円く うす青くひろがって星が無数に瞬いているのが見える。

懐中電灯をつけて、ダンナ、ヨーキイのトトーと3人で夜のお散歩に出る。

暗かろうと雑草がザワザワだろうとトトーは喜び勇んであっちへ首を突っ

こみ、こっちへオシッコをかけ、もう、パニック状態。

今泉家は、今夜は若い人達が泊まるようだ。

花火をあげてワイワイ賑やかに笑っている。

今日で夏休みの最後の日曜日、、、、、。

オレンジの明かりが絵本の中の可愛いお家のように

くっきりシルエットで浮かびあがっている。

暗い夜道をぐる~と回ってくると岡田青年の家と我が家

の灯りが木の間に見えて窓から中の様子まで伺える。

まるでドールハウスの中を覗いているよう。

静かに夜は更けてゆく、、、、、

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