秋は駆け足で深まってゆく
9月にはいると私の桜は はやばやと葉っぱを紅葉させる。
茂った緑の枝に数枚づつ赤や黄が混ざって、それが風にのって
ハラハラと落ちてくる。
鮮やかな色模様は2枚と同じものがなく、小さくて 可愛らしく美
しい。 拾い集めて篭などに盛って下界へ持ち帰り玄関などに
飾っておく。 ふもとの里は秋まつりの屋台を出したり、ちょうちん
飾りをしたり、若い人達が楽しそうに仕度をしている。
これからは、駆け足で秋が深まってあっという間に お山は静かに
なってしまう。
向かいの岡田青年は、定住をはじめて、もう、1年が過ぎた。
あの、寒くて厳しい強風の続く冬を、たった一人で過ごしたのだ。
淋しくない? と聞くと 僕、こんなの嫌いじゃないから大丈夫、
夜、静かにしているとなんか、動物の気配がして息遣いまで
聞こえるんですよ。 と嬉しそうに云う。
夜、岡田青年の明るい部屋の中をタヌキやウサギなどが覗く
こともあるのかな と 想像してしまった。
岡田青年は控えめで、ものしずかな青年だ。
最近、就職できたと言っていた。
彼に関しては他には なあんにも知らない。
お山では、そういう関係が、お互い いちばん心地よいと思う。
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