アメリカ帰りのお雛様
漆塗りの半円のお盆?上に それはもう、可愛らしく品のある内裏雛が一対。
大きさは手のひらに乗るくらい。丈は7,8センチほど。
背面にはやはり、半円が屏風のように立てられ、そこに螺鈿で桜の花が細かく
緻密に描かれて非常に凝ったものだ。
男雛はふっくらした頬に凛とした気品を漂わせて渋い、鉄色の地にいぶし銀の桐
の葉様の、地味ながら見事な着物を着て白い袴をつけている。
女雛は蘇芳の地色に金銀の桜や千鳥などを散らしたものに緋色の袴?。
華やかなのに、少し寂しげに見える。
二人は、この世の穢れとは無縁な所で静かに春がきて、箱から出してもらう
のを待っていたようだ。
他に、微笑んで手に各々お道具を持った三人の官女たちが控えている。
今年は、お内裏様だけを来宅した人に見てもらおうと、下駄箱の上に飾り
官女たちには二階でユックリしてもらうことにした。
この雛たちはアメリカで生まれた長男の初子(萌ちゃん)に送ってあげた
ものだけど、八年ぶりで帰国した時、お嫁さんの実家から贈られた立派な
ものがあるから これは私に頂戴 と取り返してしまった。
欲張りなお義母さん、と思われたにちがいない。
寂風荘から取ってきた紅白梅を添えて、大切に、たいせつに眺めている。
三月いっぱい程、飾っておこう。
もう、嫁に行き遅れる心配のない 一人しずか だからね。
最近のコメント