淋しげな人(高齢者)
どんより曇って風の冷たい午後。
公園に隣接したグランドの隅っこのベンチに、たった一人で腰か
けてうなだれている黒づくめの服装の男性を見た。
強い風が通ると、枯れ葉がカラカラと舞い、グランドの乾いた埃が
足もとを吹き抜けていく。
張り巡らした金網に沿って小道を歩きながら男性を眺めたら、近所
のご主人だった。
この方は、退職されてから急に体が弱くなって、最近ではステッキを
使って歩行をされている。
時々、わが家にやってきて病気の話や好きだったカラオケの話を楽
しそうにして行く人だった。
こちらに気が付いて手を振ってくれた。 「寒いですね~」
私は声をかけたけれど、風で届かなかったようだ。
どうしてあんなに寂し気に見えるのだろう か ・・・
新聞の記事で、一人暮らしの老人に、一人暮らしは淋しいか?
というような質問をしたら、半分以上の老人が 気楽でいい 楽し
いと回答したという。
独居老人は孤独 寂しい 孤独死のイメージがありがちだが ど
うも傍から見る者にとっては、そう見えるだけで、実際は考えてい
るほど哀れでも可哀想でもないようだということが判った・・・という。
寝たいときに寝、起きたいときに起床し、誰にも気兼ねの要らな
い生活がいい。
健康や経済については不安もあろうが束縛されない暮らしがいち
ばんだ。
私も高齢になって、もし、もしも自分が独りぼっちになった場合、
やはり同じ考えをもつだろう。
人間 家族に囲まれて暮らしていても、賑やかな人だかりの中に居
ても寂しい時はさみしいものなんだ。
と、思いながら、誰もいない風の吹き抜けるグランドのベンチに俯い
てじっと座っていたあの姿がチラついてしまった。
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コメント
どういう雰囲気だったかは見ていないので判りませんが、
私の周りの高齢者男性も1人で畑などでボーっとしていることがよく見受けられます。なにを隠そう、亡き父もそうでした。
一見さみしい老人に見えるのですが、ご本人は木々や空や風等をまるで新聞を読むように体感し、リラックスしている状態なんです。
どちらかというと、一人で思いにふけっている時が、男性の場合は好きだと言えます。
これは女性には理解しにくい感覚かもしれませんね。
投稿: 玉井人ひろた | 2016年1月23日 (土) 18時24分
>玉井人ひろたさま
老人=孤独 寂しい 不自由 など、若い人からみると
そうイメージしてしまうのですね。
公園で、大型ショッピングセンターなどで一人ボンヤリ
座っている高齢男性を見ると暇なんだな、一人で寂しい
退屈なんだとつい、思ってしまいます。言われるように
もの思いや、自然の息吹を五感で楽しんでいるという
こともあるなんて他人には判らないので 偏見しちゃうんですね。
でもね。ひろたさんは、まだ若いので感じないかもしれない
けど、高齢になると時にはなんとなく不安で孤独な時があるんですよ。
お母様も、きっと幸せなんだけど、寂しい時があるんじゃ
ないかと私はおもうのです。結局は人間独りぼっちですからね。
なんか、分けわからない話になりました
投稿: 一人しずか | 2016年1月23日 (土) 19時40分
私の夫は、退職年齢が近づいてくると、「老後は、キャンピングカーに乗ってあちこちを回ろうかな」と、言っていました。別にアウトドア派だったわけでもないのに、「そうか、そんなに私と二人きりになると困るのか」と思いました。でも、退職直前に、亡くなってしまいましたが。
投稿: 般若苑 | 2016年1月24日 (日) 19時49分
>般若苑さま
人生って思い通りにいかないものですね。
何か楽しみ、趣味をもって生きたいものですが
イザ自由になるとその気が失せてしまうことも。
なんにもしないでボンヤリ暮らすのも最高にラクでいいし・・・
ただ、一人遊びのできる人間がお互い一番理想です。
般若苑さまのお話を聞くと、反省することばかりの私です。
あまり主人を大切に思ってない私なので。
投稿: 一人しずか | 2016年1月25日 (月) 20時03分